マスカットボーイズ『metabolical music』に込めたもの(の一部)

先日ついに私達マスカットボーイズのアルバム『metabolical music』が発売されたという事で、どうせ別にインタビューとかされる事はないだろう(先日のらっぷの時間では少しして頂いたけど 笑)という事で、このアルバムに込めた想いというか、どんなアルバムなのかという事をもうせっかくだから思いっきり書かせて頂きたいと思います。

まず、今回はbeat、アルバムジャケットなどのデザイン、MV制作などは全てtanpiが手掛けてくれたのだけれど、じゃあ空廻は何をしたかと言えば、裏方全般と、何よりこのアルバムの音楽としての方向性や構成など、タイトルやhookなどはほぼ僕が主導でやらせて頂きました。

僕個人的な話をすると、一つの作品は1人のbeat makerでという動きをしていて、前作の906との『I wanna say No doubt』やspoken blanco productionでのmondo katimuのような、それぞれでまた違った空廻を出して今は自分の可能性の幅を出していきたいと考えていて、その中でtanpiというbeat makerと一緒に、しかも彼もRAPも乗せてくるという作品を作ると考えた時に、他の2人のsoundでは出来ない、弾けるような楽しさであったり、普段2人で遊んでいる時のようなfreshで元気なものを作りたいと思う事から始まりました。

ユニット名もカッコつけ過ぎず『マスカットボーイズ』(笑)

だから沢山送ってくれたbeatの中から、当然もっとタイトなbeatもあったのだけれど、出来る限り難し過ぎない、直感でノれる様なものを中心に選んで自分の中で構成していきました。

ただかと言ってそのままただ楽しく聴きやすいだけの作品にはしたくない。
このアルバムはれっきとした強いメッセージ性を持った僕らが表現したい“hiphopなんだ”という事をしっかりしたかったので、その中で僕が一つ意識していた事は“サンプリング”という哲学でした。


“metabolical music”というのは造語で、“代謝する音楽”とか“循環する音楽”という感じで捉えてもらいたいです。
過去があって今があって未来があって、朝があって昼があって夜があって、繰り返し繰り返しの中で成長する僕達、またはこの世界や文化というのを、ざっくり言うとこのアルバムでは表現しています。
ほとんどの方がお気付きかと思いますが、このアルバムタイトルもnujabesの名盤『metapholical music』のサンプリングだし(笑)、これはかなり勇気のいる決断でしたが(笑)、そういうところにも今回のアルバムのコンセプトが込められています。

僕達2人はどちらかと言うと、当たり前の日常の中で感じたドラマティックをlyricにするタイプのラッパーだと思っています。
僕達は毎日同じような日々を生きているから、ずっと変化なく終わってしまうのかといったらそうではなくて、方丈記の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」のように絶え間ない変化の中で知らず知らず姿や世界が変わっていくんだという思想のようなものを共通して持っていました。
まさにそれは常に新陳代謝を繰り返して恒常性を保つ僕達の身体のように。

なので、このアルバムも朝から始まり、夜に向かってまた朝に向かうような、そしてそれぞれの時間(曲)がお互いをリンクさせたり、布石であったりするような、そんな作りになっています。

だから意図的に違う曲でも同じような言葉が入ったり、またはあえて矛盾するような事を言って関連付けています。

ここはここを意図していて〜なんていちいち言うともうそれは野暮なので(笑)、是非より多く聴いて頂いて感じて頂けたらと思います。

全力を尽くして生きても、または怠慢に生きても、何も変わらない気がして気持ちが堕ちてしまう事が僕は多々あります。
何をやっても無駄なのかな、と。

でも僕達はイヤでも昨日の自分ではありません。
それは身体も人生も川の流れのようにずっと動いて、そして破壊と再生の新陳代謝を繰り返して、過去と今をサンプリングして、吸収と変化の中で生きているからです。
そして、それはきっと自分の中でなんとなくでもベクトルを上げていればその分そちらに向かっていくはずです。
悲観したら悲しい結末になるし、より良くしていこうと思えばより良くなるのだと信じています。

だから僕達は感度を上げて、変化を感じながら、そして変化に身を委ねながら、必ず素晴らしい未来になる事を信じて生きていきたいし、音楽をしていきたい。
そういう風に思っています。

長くなりましたが、そしてまだまだ伝えきれてないんですが、大体そんな想いをこのアルバムには込めました!

と言ってもこれあくまで空廻視点です!(笑)
tanpiはtanpiでまた違った気持ちも込めている事だと思います。
そこがユニットの面白さ。これでこそ弾けて混ざった濃縮還元hiphopですよ(笑)

細かいメッセージや思想、遊び心など本当に沢山込めていますので、是非是非深読みして頂いて結構です。(笑)

とは言えもちろんどんなジャンルの作品でもそうですが、答えとかその意味は聴いて頂いた方それぞれ!

とにかくこの作品を出せてよかったし、僕自身迷った時にこのアルバムに救われる事もしばしば!

是非末長くこの作品をどうぞよろしくお願い致します!!!

空廻でした!(°∀°)b