『地獄で笑え』解説⑩

『哲学者の休日』解説

 

ここで少しBreakを、という形でこの短めのゆるい曲が入るのですが、実は割と凝った曲でもあります。

 

この曲は僕の地元の東川口駅、それと武蔵野線での景色を書いた曲で、

東川口という町は本当に肩の力が抜けたところというか、

不便でもなく、かといって便利で楽しいところがあるという訳でもない、

“普通”の町なんです。

 

意識を上げて朝まで遊んだ帰りにこの電車に乗り、

意識を高めながら、目的地まで向かう。

 

つまり地元でありながら中継地点でもある。

その街の曲をここで入れて、作品をここまでの流れから次の流れにパスしたかった。

 

 

僕は基本的に割と怠け者の性質です。

そして全力のつもりが空回って中途半端。

 

でも気を張らなくても人生っていうのは絶えず動いていて、

逆に力が抜けていた方がうまく事が運ぶこともあります。

 

今回のアルバムは全体として熱量高めですが、だからこそこういうマインドも持ってほしくて。

 

哲学者にも休日が必要で、でもボーっとしていながらもオートで頭は動いたり思考を手繰り寄せたりしている。

 

たまには電車のように何かに運んでもらうことも必要だし、

実は物事はすべてレールの上を運ばれていくものなのかもしれない。

 

スイッチがオフになるタイミングは不可欠。

時に受動的に、身を任せて、気を張らず、その時に弱い自分のことも受け入れて笑えたら、また次に行ける。

何故なら否が応でも、僕たちは進んでいくんですしね。

 

“浸透圧”とか

ゴーギャンの有名な作品の引用とか、ニーチェとかソシュールとかの哲学者の名前を、

ゆるめなのに入れられたことが僕のお気に入りポイント(笑)

一応どの単語もこのアルバム全体のテーマを理解する為のヒントのような要素です。

 

さーて、この曲を経てどこに向かうのか。

それはこの曲をボーっと聴き終えたら。

 

 

『哲学者の休日』

 

 

クリスマスの時期以外も普通に光る照明

の意識低い街の景色眺め座る武蔵野線。

靴を脱いで外じゃなくて漫画見てる少年。

と孫じゃなくてスマホ見てるおばあちゃんが正面に座る。

 

完全にoff。人と会うとしたって今日は相手による。

語り明かした昨日の夜の熱も冷めて専ら眠い目。

駅の安い蕎麦屋さんのしょっぱいラーメン食いてえ。

 

駅に着く。

自動ドアが開くと浸透圧みたいに人が流れ込んでそれぞれ居場所探し席に着く。

我々はどこから来て、何者で、どこへ行くのか

なんて今は考えたくないから。

 

未だ2.5軍。

難しいし置いてきたニーチェ。ソシュール。

youtube開き コントを観て、いいね。so joule。

それか左脳作動しないweekend tune。

 

結局は何もやりたくはないし

めんどくさがり。もう靴下裏返し。

でも無駄な日も過ごしたくはないし。

じゃあどこにいこう。

 

クリスマスの時期以外も虚飾張った性根

の意識低い僕を乗せて進んでいく武蔵野線。

ぼーっとしてもどうせ流れていくレールの上

をトレインというトレイに委ねどっかに運んでゆけ。