朝の蜘蛛は縁起がいいから仇でも殺すなって言ってね
危機一髪
無垢な殺戮者に一息に2つの命がパンっと潰される寸前
大いなる父の登場と箴言になんとか合計16肢
無事だ
小さき父が感謝や安堵よりも誇らしげに宣う
やはり人間 前から薄々勘付いてはいたが
相当蜘蛛という生き物を崇拝しているとみた
そう つまり人間にとって我々は神の使いなのだ
捕らえようなく天を歩くさまから人は我々を空に浮かぶ雲と同じ音で呼んだ
かつて偉大な先祖は 地獄に堕ちた悪人をもその糸で救おうとしたし
科学者達は我々のこの糸から更に強靭な繊維を作ろうと模倣と研究に必死だ
人間達を今神以上に支配していると言っても過言ではないインターネットの世界の事は“web”と呼ばれている
つまり彼らは我々の巣の中に自ら絡まりにいきたい欲求があるのだ
今人間が最も尊敬するヒーローって知ってる?
そう スパイダーマンだ
蜘蛛の足は8本
8は人間にとって理想の数字
末広がりで無限
我々の事害虫だなんて呼ぶのは浅学で未発達なヤツだけだな
我々は益虫
人間にとって益をもたらす存在なのだ
それに比べてあの親父さんは本当によく出来た人間だ
学と教養があるし 世の正しさに準じ生き それを子に説き 叱り褒める事が出来る
まさにああ言う者の事を“人間”というのだな
なぁ我が子よ これからはこの人間の住処の上を尻を上げて堂々と歩こう
綺麗好きな奥さんの捨てたレタスの上を舞うコバエを全部食べてしまおう
奥さんもきっと喜んでもっと腐ったレタスを捨てられるようになるだろうし
私達も毎日お腹いっぱいで子孫繁栄
お前の子供も孫もその孫もそのその孫ももう…毎回すんごい産まれちゃうからちょっとお父さん把握できてないんだけれどとにかく
蜘蛛の世界はこれからも安泰だ
蜘蛛万歳!人間万歳!
ぷっぷっぷっぷ
これからは隅に隠れず堂々と生きよう
夜になった